磁気券エラー

目次

駐車券・パスカードが読めない|磁気券エラーの対処方法

ゲートや精算機で「このカードは読めません」「無効です」と出たときの対処方法です。ほとんどは、入れ方の確認で解決します。

お急ぎの方へ

確認しても直らないときは、ご利用の駐車場へご連絡ください。

  • ザ・パーク ビッグアイ駐車場:コールセンター(0120-152-232)
  • スカイパーク:管理事務所(024-925-0579)

お困りの状況から探す

状況主な原因
出場時に駐車券・サービス券が読めない方向、順序、汚れ、折れ対処方法へ
入場時にパスカードが入らない有効期限、出庫後3分以内、入庫中カードの重複対処方法へ
プリペイドカードが読めない磁石によるデータ破壊の可能性券種の違いへ
車高の高い車で出場できないゲートのセンサーが未検知対処方法へ

エラー対処方法

その場で解消できる一時的エラーと、データが破壊された修復不能エラーがあります。

STEP
一時的エラー

見分け方は次のとおりです。まず、ご自身でご確認ください。

【方向】カード記載の矢印方向に入れてください。

【順序】駐車券→サービス券の順に入れてください。

【種類】他の駐車場のカードではありませんか。

【種類】(複数月極契約の場合)入庫中パスカードで入ろうとすると、データ重複して入場できません。出庫済パスカードでお入りください。

【期限】(パスカードの場合)有効期間が切れていませんか。カード更新してください(毎年3月末)。

【期限】(パスカードの場合)出庫後3分以内の再入庫はできません。

STEP
修復不能エラー

上記で解決しなければ、修復不能エラーの可能性が高く、ご自身での復旧手段はありません。

ご利用の駐車場へお申し出ください。

  • ザ・パーク ビッグアイ駐車場:コールセンター(0120-152-232)
  • スカイパーク:管理事務所(024-925-0579)

車高の高いお車で出場できない場合

最低地上高(車体と路面の距離)が特に高いお車は、まれに出場時にエラーが起きることがあります。

【原因】

  • 入場ゲートを通るとき、路面埋設センサーが検知して入庫処理する。
  • 一部の車種はセンサーが検知せず、入庫処理しない。
  • 未入庫扱いとなり、出場時にエラーが出る。

※ランドクルーザーやジムニー等でまれに起きるようです(最低地上高20cm以上?)。

【対策】

  • 2022/6/21、センサー感度を調整しました。
  • 念のため、該当車種は事前精算機のご利用をお勧めします(エラー時に対処する余裕があるため)。

トラブル時のお車移動は、くれぐれもご注意ください。

【重要】券種によって、磁気への強さが違います

エラーを繰り返さないために、券種ごとの性質を知っておいてください。

正確には、券種ごとに次のとおりです。

券種材質保磁力外部磁気への強さ
駐車券紙高保磁力(約2,750 Oe)強い。ただし強力な磁石(ネオジム磁石・磁石式スマホホルダー)では壊れます
サービス券紙高保磁力(約2,750 Oe)強い。同上
プリペイドカードプラスチック低保磁力(約650 Oe)弱い。身近な磁石で壊れることがある
パスカードプラスチック高保磁力(約2,750 Oe)強い。切り替え後、磁気が原因のトラブル報告なし
プリペイドカード
650
家具の扉の磁石
804
バッグの留め金
904
磁気ネックレス
1,203
駐車券・サービス券・パスカード
2,750
プリペイドカードは磁気データが壊れる可能性があります。詳しくは解説記事をご覧ください。

同じ「磁気券」でも、中身はけっこう違うんですね。

2010年に駐車券・サービス券を高保磁力タイプへ切り替えたところ、磁気トラブルは激減しました。パスカードも同時に高保磁力タイプへ切り替えており、切り替え後に磁気が原因のトラブル報告はありません。低保磁力のまま残っているのはプリペイドカードだけです。

プリペイドカードをお使いの方へ

低保磁力のプリペイドカードは、以下のものと一緒に持ち歩かないでください。

  • 磁石で留めるタイプの財布・バッグ・定期入れ・スマホケース
  • 磁石式のスマホホルダー(車載ホルダー、MagSafe等)
  • 磁気ネックレス、磁気治療器などの健康磁気製品
  • 冷蔵庫や家具の扉の磁石(カードを近くに置かない)
  • ハードディスクやスピーカーから取り出した強力磁石

もうひとつ、見落としがちな点があります。

JIS X 6302-6 は、高保磁力ストライプが低保磁力ストライプに接触することによるダメージを想定し、それを最小限にするよう配慮した規格です。裏を返せば、高保磁力の券と低保磁力のカードを重ねて持つこと自体が、わずかながらリスクになりえます。

駐車券・サービス券・パスカードと、プリペイドカードは、磁気面どうしを重ねずに分けて保管してください。

駐車券とプリペイドカードを重ねて財布に入れ、後日プリペイドカードが読めなくなる3コマ漫画
豆情報

ちなみに、時計の耐磁性能は以下の通りです。磁気券よりはるかに繊細です。⇒参考サイト (【スマートフォンが時計を狂わせる!】意外と知らない時計の基礎知識-第1回は耐磁性を解説。)

一般的な非耐磁時計1,600 (A/m) =20 (Oe)
JIS 1種 耐磁時計4,800 (A/m) =60 (Oe)
JIS 2種 耐磁時計16,000 (A/m) =200 (Oe)
プロ仕様 耐磁時計80,000 (A/m)=1,003 (Oe)

磁気券はなぜ読めなくなるのか|スマホ・電子レンジ・磁石・静電気で検証しました

スマートフォンや電子レンジが磁気カードを壊す、とよく言われます。本当にそうなのか、駐車券とサービス券を使って実際に試しました。

磁気ストライプの仕組みは、切符・定期券・診察券・ポイントカードなども同じです。ただし券種によって保磁力が異なるため、以下の結果がそのまま当てはまるとは限りません。

結論

高保磁力タイプの駐車券・サービス券では、スマートフォン・電子レンジ・IHクッキングヒーターによるエラーは確認できませんでした。一方、磁石式のスマホホルダー、ネオジム磁石、静電気ではエラーが発生しました。

ただしこれは、今回使用した高保磁力タイプについての結果です。低保磁力のプリペイドカードには当てはまりません。

実験結果の一覧

対象結果
スマートフォン(密着1時間・通話)エラーなし
スマートキー(15個密集)エラーなし
電子レンジ(庫内・700W)エラーなし
IHクッキングヒーター(2,000W)エラーなし
フェライト磁石(3日間密着)エラーなし
水濡れ・熱湯・熱風・紫外線・アルコールエラーなし
折り曲げ(紙製の駐車券)エラーなし
ネオジム磁石エラー発生
磁石式スマホホルダーエラー発生(スワイプ時)
静電気放電エラー発生
折り曲げ(プラスチック製カード)実際にエラーの原因となった事例あり
磁気ストライプ中心部の剥離エラー発生
磁気ヘッドの摩耗(機械側)実際にエラーの原因となった事例あり

以下、それぞれの検証内容と、そもそもなぜ券種で差が出るのかを説明します。

エラーには2通りあります

磁気券エラーには、(1)その場で対応できる一時的エラーと、(2)データが破壊された修復不能エラーがあります。

(1) 一時的エラー磁気データは問題ありません。主にお客様の使い方が原因です。
(2) 修復不能エラー磁気データの破壊や機械の故障等です。お客様では対処できません。

(2)のうち、磁気データそのものが壊れたものを「磁気不良」と呼びます。

入れ方の間違いとか、意外と多いですよ。

エラーメッセージでは区別しにくいですね。

磁気券の仕組み

まず、磁気券の構造を調べましょう。駐車券は「磁気ストライプ」カードで、次の工程で作られます。

  1. 磁性粉を塗料に混ぜてPETフィルムに均一に塗布します。
  2. ドライヤーで溶剤を蒸発させます(紫外線硬化インクの場合も)。
  3. PETフィルムをカードに接着します。
  4. 磁気ヘッドで磁化します。このとき、N極S極の組合せでパターンを変えます。
  5. 一定間隔(クロック信号)の中で磁束反転があれば「1」、なければ「0」を表します。
  6. 「1011011」のように、バーコード状に記録されます。

磁気ストライプはたくさんの磁石の集まりで、その並び方で情報を記録しています。

この構造とエラーは切っても切れない関係にあります。


⇒参考サイト (磁気カード規格と基本的なシステム構成)
⇒参考サイト (磁気カードテクノロジーストーリー)
⇒参考サイト (高密度磁気記録メディア) ※磁気記録の原理が解説されています。
⇒参考サイト (磁気媒体) ※磁気ストライプの図解が分かりやすいです。
⇒参考サイト (Improve Magnetic Card Reading in the Presence of Noise) ※ここを参考に上図を作成しました。

豆情報

「磁気ストライプ」は「磁気ストリップ」ということもあります。辞書的な意味は次の通りです。⇒参考サイト (Oxford Learner’s Dictionaries)

strip
ストリップ
細長い切片。 strip
stripe
ストライプ
隣接する部分と色が異なる細長いライン。 stripe
stripes
ストライプス
複数のストライプが並んだ縞模様。
(例) Stars and Stripes: 星条旗
 stripes

本来は「磁気ストリップ(magstrip)=カードに貼る前のテープ」、「磁気ストライプ(magstripe)=カードに貼った後の帯状部分」なのでしょうが、実用上はあまり区別されていないようです。

では、何が原因でエラーが起きるのか。調べてみましょう。

「保磁力」について

券種による違いを理解する鍵が「保磁力」です。ここで説明させていただきます。

保磁力とは

磁気データを書き込むとは、上で書いたように「小さな磁石をたくさん作ること」です。

たとえば、磁石をクリップにつけるとクリップ同士もくっつきます。磁石を離してもクリップはくっついたままです。これを「磁化」といい、小さな磁石ができた状態です。

ところが、しばらくするとクリップの磁力は消えてしまいます。磁石として存在できる時間がとても短いのです。

このように、外部からの磁力にどれだけ耐えて磁化を保っていられるかを示す値が「保磁力」です。外部磁力への抵抗力という意味で「抗磁力」ともいいます。

保磁力の違いはどこから来るのか

初期の磁気ストライプは保磁力がとても弱く、データが簡単に失われました。信頼性を高めるため、さまざまな工夫がされています。

保磁力の差は、磁性材料と書込磁力によって決まります。磁気ストライプでいえば、酸化鉄(茶色)よりバリウムフェライト(黒色)が高性能で、強い磁気で書き込むと保磁力も高まります。
⇒参考サイト (Explaining the Physics Behind Magstripes/ Experimental Conclusions)
⇒参考サイト (鉄材の磁化について)※磁化の原理や保磁力を高める工夫をアニメーションで説明しています。

この保磁力が、さまざまな場面で磁気データを守れるかを左右します。

単位と規格

保磁力を表す単位は、SI単位でアンペア毎メートル(A/m)、CGS単位でエルステッド(Oe)です。

規格上の扱いには、少し注意が必要です。磁気ストライプのJIS規格は低保磁力(JIS X 6302-2)と高保磁力(JIS X 6302-6)に分かれていますが、規格本文は保磁力の値そのものを規定していません。参考として示されている静磁気特性の値は、次のとおりです。

区分参考値
低保磁力(Lo-Co)23 kA/m(300 Oe)および 52 kA/m(650 Oe)
高保磁力(Hi-Co)200 kA/m(2,500 Oe)〜335 kA/m(4,200 Oe)

当社の券種では、駐車券・サービス券が約2,750 Oe(高保磁力)、プリペイドカードが約650 Oe(低保磁力)です。その差は約4倍です。

なお、同規格には「カードを磁界にさらすと記録データの破壊につながるおそれがあるが、外部の磁界については規定していない」という趣旨の記載があります。保磁力の数値は「これ以下の磁界なら安全」という保証ではないことを、あらかじめお断りしておきます。
⇒参考資料 (JIS X 6302-6:2017)

磁気券にも性能の違いがあるんですね。

調査の方法

磁気券エラーは何が原因で起きるのでしょうか。以下を使って調べました。

  • 試験用サービス券 (高保磁力タイプ)
  • 精算機
  • 磁界観察シート (着磁状態を確認するマグネットビューアー)
正常なストライプ
正常な磁気ストライプ
ネオジムで消磁
ネオジムで消磁

【判定】の見方

  • 判定=OK:エラーの原因ではなかったもの。心配は不要です。
  • 判定=NG:エラーの原因になりうるもの。ご注意ください。
  • 判定=NG(条件付き):条件によって結果が分かれたもの。
  • 判定=不明:結論を出せなかったもの。
実験条件についてのお断り

以下の実験は、いずれも高保磁力タイプの駐車券・サービス券で行った結果です。低保磁力のプリペイドカードには、そのまま当てはまりません。「エラーなし」と書かれた条件でも、プリペイドカードでは壊れる可能性があります。

検証:実は問題なかったもの

世間で「磁気カードの大敵」とされているものを、片端から試しました。結果は意外なものでした。

検証1 (スマートフォン) 【判定=OK】

かつては磁気エラーの元凶と思っていましたが、実際そうでしょうか。

スマホを立ててゼムクリップをつけると内蔵磁石の場所がわかるので調べてみました。

駐車券をスマートフォンのスピーカー部に数秒接触エラーなし
駐車券をスマートフォンに密着させ1時間放置エラーなし
駐車券を密着させスマートフォンの音を鳴らすエラーなし

正直、意外な結果でした。

検証2 (スマートキー) 【判定=OK】

お客様のパスカードにエラーが出たので、保管状況を確認しました。大量のスマートキーがずらりと並び、なかなか壮観です。

スマートキーは「磁気を検知すると通信を試みる(電池切れの原因)」とされ、また電波は磁界成分を含む電磁波です。これだ!と思いましたが…。

駐車券をスマートキー(15個密集)に数秒接触エラーなし
駐車券を密着させスマートキーを作動エラーなし

スマートキーの磁場は、このサイト⇒参考サイト (ワイヤレス磁界センサー) で測定しています。

最高値458.37 nT (ナノテスラ)=0.0045エルステッドと、かなり微弱でまったく問題ありません。

検証3 (電子レンジ) 【判定=OK】

家庭で強い電磁波を発する製品の代表格、電子レンジも試しました。

高周波(マイクロ波)で水分子を振動させて加熱します。磁気カードを置いてダメになったという話もありますが…。

駐車券を電子レンジの上に置いて700Wで数秒作動エラーなし
駐車券を電子レンジの中に入れて700Wで数秒作動エラーなし

電子レンジの磁場は、このサイト⇒参考サイト (一般家庭の電磁波はどのくらい?自宅で測定してみた) で測定しています。

稼働中レンジから10cm離れて9.4 mG (ミリガウス)=0.0094 エルステッドで、問題ない数値です。法令(電波法や電気用品安全法)で漏洩電磁波を規制しているためでしょう。

イメージと違うものですね。

豆情報

電子レンジで磁気カードが焼けた事故の調査記録があります。磁気データ破壊は計測されませんでした。

・カードだけを庫内でマイクロ波照射すると、41.5℃まで温度上昇
・紙と密着させてマイクロ波照射すると、焼け焦げ発生
⇒参考サイト (火災原因調査シリーズ(43)磁気カードからの火災事例)

検証4 (IHクッキングヒーター) 【判定=OK】

IHクッキングヒーターも調べました。「電磁誘導と渦電流で鍋を加熱」、まさに磁気カードの大敵のイメージですが…。

待機電源ONで駐車券を密着エラーなし
調理加熱(2000W)で駐車券を密着エラーなし
調理加熱(2000W)で駐車券を手前に動かすエラーなし

取扱説明書に「磁気に弱いものを近づけないでください」とあるのに意外な結果でした。

IHクッキングヒーターの磁場は、このサイト (IHクッキングヒーターの電磁波を測定しました _ IH電磁波レポート)で測定しています。

確かに磁場が発生しますが、2,000W稼働(密着状態)で27.4 mG(ミリガウス)=0.0274エルステッドで、磁気券に影響を与えるレベルではないようです。

豆情報

カードを動かすことで交流消磁が起きるか確認しましたが、何も起きませんでした。一応以下の原理ですが、保磁力の2~3倍の磁力が必要だそうです。
⇒参考サイト:マグネットの着磁と消磁 | TDK

  1. 磁性粉が磁気飽和するほど十分な交流電流を流す。
  2. 交流の磁界は周期的に極性が反転する。
  3. 逆向きの磁化を何度も繰り返す。
  4. 遠ざかれば遠ざかるほど弱く磁化される。
  5. 最終的に消磁する。

検証5 (低磁力×長時間) 【判定=OK】

「弱い磁力でも長時間さらされると影響を受ける」との説(低温やけど磁力版?)を見たので検証しました。

駐車券にフェライト磁石を1時間密着エラーなし
駐車券にフェライト磁石を3日間密着エラーなし
プリペイドカードの場合

このフェライト磁石は約554エルステッドで、低保磁力(650 Oe)のプリペイドカードにとってはぎりぎりの値です。プリペイドカードでは同じ結果になるとは限りません。

ここまで、疑わしいとされてきたものはことごとく「シロ」でした。では一体、何がエラーを起こしているのか。ここから本題に入ります。

天敵1: 強い磁気

磁力イメージ

磁気でデータを書き込むため、強い磁力にさらされるとデータが壊れることがあります。

CASE 1-1 (ネオジム磁石) 【判定=NG】

どういう条件ならエラーが起きるのか、さらに検証しました。

使ったのは、不要ハードディスクから取り出したネオジム磁石です。鉄にくっつけると指で剥がせないほど強力です。

ネオジム磁石を駐車券に1~2秒接触エラーなし
ネオジム磁石を駐車券の端から端までスワイプエラーなし

ただし、このときの実験方法に誤りがあったので、後日再検証しました。

上記実験はヨーク(継鉄)の裏側から当てていました。ヨークは磁力を増幅させますが、裏側は磁力が極端に低下します。遮蔽というより、磁力線の集中がずれるためでしょう。

ヨーク表側
ヨーク表側
ヨーク裏側
ヨーク裏側

表側から当てたところ、以下の結果となりました。

ネオジム磁石を駐車券に1~2秒接触エラー発生
ネオジム磁石を駐車券の端から端までスワイプエラー発生
フェライト磁石でスワイプ (対照実験)エラーなし

これほどの磁力にさらされることはあまりないでしょうが、一応性能の限界を確認できました。

CASE 1-2 (スマホホルダー) 【判定=NG(条件付き)】

車の運転中、磁石でスマホを固定するスマホホルダーを試しました。

N52クラスの強力なネオジム磁石を使ったものもあるようです。

駐車券を2~3秒接触エラーなし(※)
駐車券をスワイプエラー発生

(※)マグネットビューアーで見ると一部消磁されていました。通常より時間が掛かったものの、一応読めました。

CASE 1-1 (ネオジム磁石)のように一撃アウトでないのは、店頭展示品をケース越しに試したせいかもしれません。

これは危険ですね。くれぐれもご注意ください。

CASE 1-3 (原因不明のデータ破壊) 【判定=不明】

特定のお客様のパスカードにエラーが出ました。何度書き直しても再発するので、メーカーに調べてもらいました。磁気ストライプに試薬を塗ると、バーコードが上下半分ずれていました。

国際規格 JIS 1型 (ISO)は上下2段に記録します (トラック1=IATA:英数字79字、トラック2=ABA:数字40字)。当社の磁気券は国内規格 JIS 2型 (1トラック:英数字72字)なので、データが壊れていたようです。⇒参考サイト(磁気ストライプは規格により構造が違います)

メーカーでも珍しいケースで、結局原因が分かりませんでした。

磁気が原因と確認できたわけではありません。パスカードを駐車券・サービス券と同時に高保磁力タイプへ切り替えて以降、磁気が原因と思われるトラブルは報告されていません。

磁気の影響まとめ

ここまでの結果を、磁力の弱い順に並べました。2本の境界線にご注目ください。

磁気を発する製品密着状態の磁力5cm離れた場合
スマートキー
458 (nT)=0.0045 (Oe)458 (nT)=0.0045 (Oe)
電子レンジ
?9.4 (mG)=0.0094 (Oe)
ノートパソコン(スピーカー)
8,000 (A/m)=100 (Oe)0 (A/m)=0 (Oe)
スマートフォン(スピーカー)
16,000 (A/m)=201 (Oe)400 (A/m)=5 (Oe)
携帯電話(スピーカー)
22,400 (A/m)=281 (Oe)1,600 (A/m)=20 (Oe)
フェライト磁石※
554 (Gauss)=554 (Oe)4 (Gauss)=4 (Oe)
プリペイドカード(低保磁力)
650 (Oe)▲OK ▼NG
家具のドア(マグネット部)
64,000 (A/m)=804 (Oe)1,200 (A/m)=15 (Oe)
バッグ留め金
72,000 (A/m)=904 (Oe)0 (A/m)=0 (Oe)
健康磁気製品(ネックレス等)
96,000 (A/m)=1,203 (Oe)0 (A/m)=0 (Oe)
駐車券・サービス券(高保磁力)
2,750 (Oe)▲OK ▼NG
ネオジム磁石※
3,002 (Gauss)=3,002 (Oe)68 (Gauss)=68 (Oe)
スマホホルダー
?(※3)?
MRI
?0.5~3 (T)=5,000~30,000 (Oe)

⇒参考サイト (セイコーウオッチ)から一部引用・単位換算。

(※1) 引用元に「製品等の磁界の強さは目安です」とあるように、あくまで参考値としてください。
(※2) 実験使用品の磁力は参考サイト(磁束密度・吸引力計算ツール)で推定しました。
(※3) スマホホルダーに「N52ネオジム磁石(10,000エルステッド以上)」と表記されることがありますが、これは磁石自身の保磁力(その磁石がどれだけ消磁されにくいか)であって、カードに加わる磁界の強さではありません。実際にカード面が受ける磁界は、上のネオジム磁石の行(3,002 Oe)と同程度と考えられます。それでも高保磁力の2,750 Oeを上回るため、危険であることに変わりはありません。
(※4) 保磁力の値は「これ以下なら絶対に安全」という境界ではありません。近い値では、部分的にデータが弱まることがあります。

タイプによる性能の違いが一目瞭然ですね。

駐車券・サービス券が低保磁力(650エルステッド)だった頃はエラーがとても多かったです。2010年に高保磁力(2,750エルステッド)へ切り替えて、トラブルが激減しました。

この表の読み方

  • 駐車券・サービス券(2,750 Oe) の上に来るのは、ネオジム磁石・磁石式スマホホルダー・MRIだけです。日常生活でエラーが起きにくいのは、このためです。
  • プリペイドカード(650 Oe) の上には、家具の扉の磁石、バッグの留め金、磁気ネックレスが並びます。いずれも財布やバッグの中で起こりうる状況です。
  • スマートフォンのスピーカー(201 Oe)は、どちらの券種でも問題ありません。「スマホが原因」はほぼ誤解です。

プリペイドカードをお使いの方へ向けた注意点(一緒に持ち歩かないもの、重ね持ちのリスク)は、このページ上部の「券種によって、磁気への強さが違います」にまとめています。

天敵2: 静電気

磁気の強さとは無関係に、すべての券種で注意が必要なのが静電気です。

CASE 2-1 (静電気放電) 【判定=NG】

バチッと痛みを感じる静電気は3,000~1万ボルトほどあるそうです。これを磁気ストライプに放電させてみました。

磁気ストライプに触れて放電エラー発生
カードの紙部分に触れて放電エラー発生

静電気放電(ESD)が磁気データを破壊することを確認できました。放電時に流れる電流が局所的な磁界を生じさせたためと考えられますが、詳しい機序は特定できていません。着磁状態はこんな感じです。見るからに壊れていますね。
静電気による破壊

…という結果でしたが、ICチップの耐静電気規格はあるのに、なぜか磁気ストライプにはありません。JISによれば、静電気は「非常に複雑な物理現象」で「再現性にばらつき」があるので規格を作りにくいのでしょうか。
⇒参考サイト (JIS C61000-4-2:2012)
⇒参考サイト (JIS X6305-2-2010-1)

計測データは見つかりませんが、当社では静電気=要注意とさせていただきます。

天敵3: 水濡れ・熱

水濡れイメージ

紙ベースなので、水濡れや高熱による変形は読取不良を起こす可能性があります。

CASE 3-1 (短時間の水濡れ) 【判定=OK】

カードを水に濡らしてすぐ拭いたところ、エラーは出ませんでした。ある程度は撥水性があり、すぐ拭けば問題ないようです。

JIS試験項目「短期間の浸せき」(=浸漬。各種溶液に1分間浸す)をクリアするため、磁気ストライプに添加物や保護膜を加えています。⇒参考サイト(JIS X 6305-1:2010)

CASE 3-2 (油汚れ) 【判定=NG】

油で汚れた券は投入しないでください。

機械側の故障につながります。

CASE 3-3 (熱湯) 【判定=OK】

熱い飲み物をこぼした場合を想定しました。

沸騰したお湯をかけて数秒後に拭き取りエラーなし
沸騰したお湯をかけて放置 (5分で自然乾燥)エラーなし

CASE 3-4 (熱風) 【判定=OK】

磁気ストライプの製造工程ではドライヤーで乾燥させますが、その後に書き込む磁気データの耐熱性を調べました。

ドライヤーの熱風(推定140℃)を1分間当てるエラーなし

JISでは50℃±3℃の環境に60分置きますが、主にカードの物理的変形を見るようです。⇒参考サイト(JIS X 6305-1:2010)

磁性体が磁力を失う温度を「キュリー温度」と呼びます。高保磁力ストライプに使われるバリウムフェライトのキュリー温度はおよそ450℃です。ドライヤーや夏場の車内程度の温度では、キュリー温度にはるかに届きません。⇒参考サイト(Wikipedia: バリウムフェライト)

CASE 3-5 (紫外線) 【判定=OK】

熱湯→高温→日光の連想で、紫外線耐性も調べました。

ブラックライトで紫外線(波長375 nm)を10分間照射エラーなし

紫外線は以下の3種類があります。波長(nm:ナノメートル)が小さいほど強力です。 ⇒参考サイト(気象庁:紫外線とは)

  • UV-A (315-400 nm) 太陽から地表に届く。生物への影響が小さい。
  • UV-B (280-315 nm) 太陽から地表に届く。生物への影響が大きい。
  • UV-C (100-280 nm) 成層圏オゾンに吸収され、地表に到達しない。

JISでは、UV-C相当の254 nm 紫外線に10~30分さらして影響がないか検査します。日常で浴びる紫外線は問題ないようです。⇒参考サイト(JIS X 6305-1:2010)

CASE 3-6 (アルコール) 【判定=OK】

うっかり消毒用アルコールがかかった場合も試しました。

消毒用エタノール(75 vol%)を吹きつけて自然乾燥エラーなし

天敵4: 折り曲げ

折り曲げイメージ

財布やポケットに入れて折り曲げると、カードと読み取り部が密着しなくなり、読めなくなることがあります。

CASE 4-1 (紙製) 【判定=OK】

駐車券 (紙製)を一回折り曲げた程度ではエラーは出ませんでした。

CASE 4-2 (プラスチック製) 【判定=NG】

お客様がプリペイドカード(プラスチック製)を間違って折ってしまったところ、読めなくなりました。

材質による起こりやすさもありますが、折り曲げは危険ですね。

CASE 4-3 (重ねて投入) 【判定=NG】

複数枚を重ねて入れると認識しません。一枚ずつ投入してください。

その他の要因: 異物の貼付・機械側

異物イメージ

エラーの原因は、カード自身とはかぎりません。「磁気カードが読み取りにくくなったらセロテープを貼れば良い」と言う人がいますが、絶対におやめください。機械が壊れたことがあります。

CASE 5-1 (セロテープ) 【判定=NG】

お客様が出場しようとしたところ、精算機が作動停止して後続車が長蛇の列を作りました。

調べるとセロテープを貼ったサービス券が投入されており、機械が詰まって壊れていました。

厳重注意させていただきました。

CASE 5-2 (剥離試験) 【判定=NG】

お客様のパスカードデータが破損しました。カードに付箋を貼って剥がしたそうですが、これが原因なのか。だとすれば、どの程度のダメージでエラーが出るのか調べました。

セロテープを磁気ストライプに数回貼る+剥がすエラーなし
磁気ストライプの右端や左端を剥がすエラーなし
磁気ストライプの中心部1/3を剥がすエラー発生

原因は特定できませんでしたが、データ記録位置とエラーの興味深い関係が見られました。

CASE 5-3 (磁気ヘッド摩耗) 【判定=NG】

読取エラーで発券機を調べると、磁気ヘッドが摩耗していたので直ちに交換しました。

カード以外の原因もあるんですね。

CASE 5-4 (カード摩耗) 【判定=OK】

パスカードの頻回使用による摩耗を疑ったことがあります。

JISは磁気ストライプを磁気ヘッドで2,000往復させる耐磨耗試験を要求しています。パスカードは年1回交換するので、365日×5~6回入出場しても問題ない計算です。⇒参考サイト(JIS X 6302-6:2011)

エラーが出たパスカードは交換3ヶ月目。見た目に損傷が見られず、これが原因とは考えにくいです。

【結論】検証してわかったこと

この記事を書き始めた頃は「エラーの原因を特定してお客様に注意喚起しよう」と考えていました。

ところが、今の駐車券・サービス券は意外とタフで、なかなかエラーが再現できません。

それどころか、多少データが壊れていても読み取れました。

一方で、プリペイドカードだけは低保磁力のままです。同じ「磁気券」でも、必要な注意はまったく違います。ここを一括りにしていたのが、これまでの説明の不十分な点でした。

どの部分にどれだけダメージを与えたか、が鍵かもしれません。

では、実際にエラーが起きたらどうすればよいでしょうか。対処方法はこのページの上部にまとめています。

【Let’s Challenge!】磁気クイズに挑戦!

あなたは全問正解できますか?

磁気に関するクイズ

磁気クイズをお楽しみください!

全10問チャレンジ!

免責事項

  • 本記事の実験は、どんな行為が危険かお客様にご注意いただくのが目的です。
  • 厳密なテストではなく、あらゆる状況で同様の結果になることを保証するものではありません。
  • 実験結果は特記なきかぎり、高保磁力タイプの駐車券・サービス券によるものです。他の券種には当てはまらない場合があります。
  • 2020〜2023年のトラブル記録から季節性も確認しましたが、件数が少なく、統計的な傾向は確認できませんでした。
  • 製品の製造時期や測定機器の精度により、異なる結果が出る可能性があります。
  • 復旧可能な環境で行っておりますので、決して真似なさらないでください。