磁気券の一時的エラーと修復不能エラーの対処方法

データ消失

入出場時に「このカードは読めません」「無効です」等のエラーが出ることがあります。何が原因で、どう対応すれば良いのでしょうか。

本記事は現場の経験を元に多くの事例を検証しています。「とにかくどうしたら良いか知りたい」という方のため結論を先に書いておきます。

エラー対処方法

  1. まず、ご自身で確認してください。
方向矢印の方向に挿入してください。
順序(1)駐車券 (2)サービス券の順に入れてください。
種類他の駐車場のカードでは? 入場時と同じパスカードですか?
期限パスカードの期限切れでは? 出庫3分以内は再入場できません。

2.これでだめなら係員をお呼びください。磁気復活の裏ワザはありません。

エラーには2通りあります

磁気券エラーには、(1)その場で対応できる一時的エラーと、(2)データが破壊された修復不能エラーがあります。

(1) 一時的エラー磁気データは問題ありません。主にお客様の使い方が原因です。
(2) 修復不能エラー磁気データの破壊や機械の故障等です。お客様では対処できません。

この区別が重要です。

磁気券の仕組み

まず、磁気券の構造を調べましょう。駐車券は「磁気ストライプ」カードで、次の工程で作られます。

  1. 磁性粉を塗料に混ぜてPETフィルムに均一に塗布します。
  2. ドライヤーで溶剤を蒸発させます(紫外線硬化インクの場合も)。
  3. PETフィルムをカードに接着します。
  4. 磁気ヘッドで磁化します。このとき、N極S極の組合せでパターンを変えます。
  5. 一定間隔(クロック信号)の中で磁束反転があれば「1」、なければ「0」を表します。
  6. 「1011011」のように、バーコード状に記録されます。

磁気ストライプはたくさんの磁石の集まりで、その並び方で情報を記録しています。

この構造とエラー問題は切っても切れない関係にあります。


⇒参考サイト (磁気カード規格と基本的なシステム構成)
⇒参考サイト (磁気カードテクノロジーストーリー)
⇒参考サイト (高密度磁気記録メディア) ※磁気記録の原理が解説されています。
⇒参考サイト (磁気媒体) ※磁気ストライプの図解が分かりやすいです。
⇒参考サイト (Improve Magnetic Card Reading in the Presence of Noise) ※ここを参考に上図を作成しました。

「磁気ストライプ」は「磁気ストリップ」ということもあります。


辞書的な意味は次の通りです。

strip
ストリップ
細長い切片。 strip
stripe
ストライプ
隣接する部分と色が異なる細長いライン。 stripe
stripes
ストライプス
複数のストライプが並んだ縞模様。
(例) Stars and Stripes: 星条旗
 stripes

本来は「磁気ストリップ(magstrip)=カードに貼る前のテープ」、「磁気ストライプ(magstripe)=カードに貼った後の帯状部分」なのでしょうが、実用上はあまり区別されていないようです。⇒参考サイト (Oxford Learner's Dictionaries)

それでは、何が原因でエラーが起きるのでしょうか。検証してみましょう。

天敵1: 強い磁気

磁力イメージ

磁気でデータを書き込むため、強い磁力にさらされるとデータが壊れることがあります。

「保磁力」とは

ここからの話に必要なので、「保磁力」について説明させていただきます。

上で書いたように、磁気データを書き込むとは「小さな磁石をたくさん作ること」です。

たとえば、磁石をクリップにつけるとクリップ同士もくっつきます。磁石を離してもクリップはくっついたままです。これを「磁化」といい、小さな磁石ができた状態です。

ところが、しばらくするとクリップの磁力は消えます。いわば、磁石として存在できる時間がとても短いです。

このように、どれだけ磁力を保持できるかを「保磁力」といいます。どれほど外部磁力に耐えられるかという意味で「抗磁力」ともいいます。

初期の磁気ストライプは保磁力がとても弱く、データが簡単に失われました。信頼性を増すため、様々な工夫がされました。

保磁力の差は、磁性材料と書込磁力によって決まります。磁気ストライプでいえば、酸化鉄(茶色)よりバリウムフェライト(黒色)が高性能で、強い磁気で書き込むと保磁力も高まります。
⇒参考サイト (Explaining the Physics Behind Magstripes/ Experimental Conclusions)
⇒参考サイト (鉄材の磁化について)※磁化の原理や保磁力を高める工夫をアニメーションで説明しています。

この保磁力が、様々な場面で磁気データを守れるかを左右します。

  • 保磁力を表す単位は、SI単位でアンペア毎メートル(A/m)、CGS単位でエルステッド(Oe)です。
  • JIS(日本工業規格)では300~650エルステッドを「低保磁力」(Lo-Co)、2,000~4,000エルステッドを「高保磁力」(Hi-Co)としています。

磁気券にも性能の違いがあるんですね。

調査ツール

何が原因で磁気券エラーが起きるのか、以下を使って調べました。

  • 試験用サービス券 (高保磁力タイプ)
  • 精算機
  • 磁界観察シート (着磁状態を確認するマグネットビューアー)
正常なストライプ
正常な磁気ストライプ
ネオジムで消磁
ネオジムで消磁

CASE 1-1 (スマホ) 【判定=OK】

かつては磁気エラーの元凶と思っていましたが、今もそうでしょうか。

スマホを立ててゼムクリップをつけると内蔵磁石の場所がわかるので調べてみました。

■駐車券をスマートフォンのスピーカー部に数秒接触エラーなし
■駐車券をスマートフォンに密着させ1時間放置エラーなし
■駐車券を密着させスマートフォンの音を鳴らすエラーなし

正直意外な結果でした。では一体何が? ここから探究が始まりました。

CASE 1-2 (ネオジム磁石) 【判定=NG】

どういう条件ならエラーが起きるのか、さらに検証しました。

次に使ったのは、不要ハードディスクから取り出したネオジム磁石です。鉄にくっつけると指で剥がせないほど強力です。

■ネオジム磁石を駐車券に1~2秒接触エラーなし
■ネオジム磁石を駐車券の端から端までスワイプエラーなし

このときの実験方法に誤りがあったので、後日再検証しました。

上記実験はヨーク(継鉄)の裏側から当てていました。ヨークは磁力を増幅させますが、裏側は磁力が極端に低下します。遮蔽というより、磁力線の集中がずれるためでしょう。

ヨーク表側
ヨーク表側
ヨーク裏側
ヨーク裏側

表側から当てたところ、以下の結果となりました。

■ネオジム磁石を駐車券に1~2秒接触エラー発生
■ネオジム磁石を駐車券の端から端までスワイプエラー発生
■フェライト磁石でスワイプ (対照実験)エラーなし

これほどの磁力にさらされることはあまりないでしょうが、一応性能の限界を確認できました。

CASE 1-3 (原因不明のデータ破壊) 【判定=NG】

特定のお客様のパスカードにエラーが出ました。何度書き直しても再発するので、メーカーに調べてもらいました。磁気ストライプに試薬を塗ると、バーコードが上下半分ずれていました

国際規格 JIS 1型 (ISO)は上下2段に記録します (トラック1=IATA:英数字79字、トラック2=ABA:数字40字)が、当社の磁気券は国内規格 JIS 2型 (1トラック:英数字72字)なので、データが壊れていたようです。⇒参考サイト(磁気ストライプは規格により構造が違います)

メーカーでも珍しいケースで、結局原因が分かりませんでした。

CASE 1-4 (スマートキー) 【判定=OK】

お客様のパスカードにエラーが出たので、保管状況を確認しました。大量のスマートキーがずらりと並び、なかなか壮観です。

スマートキーは「磁気を検知すると通信を試みる (電池切れの原因)、電波は磁気の一種である」とのことです。これだ!と思いましたが…。

■駐車券をスマートキー(15個密集)に数秒接触エラーなし
■駐車券を密着させスマートキーを作動エラーなし

スマートキーの磁場は、このサイト⇒参考サイト (ワイヤレス磁界センサー) で測定しています。

最高値458.37 nT (ナノテスラ)=0.0045エルステッドと、かなり微弱でまったく問題ありません。

CASE 1-5 (電子レンジ) 【判定=OK】

家庭で強い電磁波を発する製品の代表格、電子レンジはどうでしょうか。

高周波(マイクロ波)で水分子を振動させて加熱します。磁気カードを置いてダメになったという話もありますが…。

■駐車券を電子レンジの上に置いて700Wで数秒作動エラーなし
■駐車券を電子レンジの中に入れて700Wで数秒作動エラーなし

電子レンジの磁場は、このサイト⇒参考サイト (一般家庭の電磁波はどのくらい?自宅で測定してみた) で測定しています。

稼働中レンジから10cm離れて9.4 mG (ミリガウス)=0.0094 エルステッドで、問題ない数値です。法令(電波法や電気用品安全法)で漏洩電磁波を規制しているためでしょう。

イメージと違うものですね。

以下は電子レンジで磁気カードが焼けた事故の調査記録です。磁気データ破壊は計測されませんでした。

・庫外の漏洩電磁波は、1mW/cm2超 (=10W/m2=0.728A/m=0.009129 Oe)
・カードだけを庫内でマイクロ波照射すると、41.5℃まで温度上昇
・紙と密着させてマイクロ波照射すると、焼け焦げ発生
⇒参考サイト (火災原因調査シリーズ(43)磁気カードからの火災事例)

CASE 1-6 (IHクッキングヒーター) 【判定=OK】

IHクッキングヒーターはどうでしょうか。「電磁誘導と渦電流で鍋を加熱」、いかにも磁気カードの大敵のイメージですが…。

■待機電源ONで駐車券を密着エラーなし
■調理加熱(2000W)で駐車券を密着エラーなし
■調理加熱(2000W)で駐車券を手前に動かすエラーなし

取扱説明書に「磁気に弱いものを近づけないでください」とあるのに意外な結果でした。

IHクッキングヒーターの磁場は、このサイト (IHクッキングヒーターの電磁波を測定しました _ IH電磁波レポート)で測定しています。

確かに磁場が発生しますが、2,000W稼働(密着状態)で27.4 mG(ミリガウス)=0.0274エルステッドで、磁気券に影響を与えるレベルではないようです。

磁気カードを動かして「交流消磁」が発生するか確認しましたが、何も起きませんでした。

交流消磁は以下の原理ですが、保磁力の2~3倍の磁力が必要だそうです。
⇒参考サイト:マグネットの着磁と消磁 | TDK

  1. 磁性粉が磁気飽和するほど十分な交流電流を流す。
  2. 交流の磁界は周期的に極性が反転する。
  3. 逆向きの磁化を何度も繰り返す。
  4. 遠ざかれば遠ざかるほど弱く磁化される。
  5. 最終的に消磁する。

CASE 1-7 (低磁力×長時間) 【判定=OK】

「弱い磁力でも長時間さらされると影響を受ける」との説(低温やけど磁力版?)を見たので検証しました。

■駐車券にフェライト磁石を1時間密着エラーなし
■駐車券にフェライト磁石を3日間密着エラーなし

CASE 1-8 (スマホホルダー) 【判定=NG】

車の運転中、磁石でスマホを固定するスマホホルダーはどうでしょうか。

強力なN52ネオジム磁石(10,000エルステッド以上)を使ったものもあるようですが…。

■駐車券を2~3秒接触エラーなし(※)
■駐車券をスワイプエラー発生

(※)マグネットビューアーで見ると一部消磁されていました。通常より時間が掛かったものの、一応読めました。

CASE 1-2 (ネオジム磁石)のように一撃アウトでないのは、店頭展示品をケース越しに試したせいかもしれません。

これは危険ですね。くれぐれもご注意ください。

CASE 1-9 (静電気)【判定=NG】

バチッと痛みを感じる静電気は3,000~1万ボルト位あるそうですが、どうでしょうか。

■磁気ストライプに触れて放電エラー発生
■カードの紙部分に触れて放電エラー発生

静電気放電(ESD)が磁気データを破壊することを確認できました。電気も磁気も電子の流れなので影響を受けるのでしょう。着磁状態はこんな感じです。見るからに壊れていますね。
静電気による破壊

…という結果でしたが、ICチップの耐静電気規格はあるのに、なぜか磁気ストライプにはありません。JISによれば、静電気は「非常に複雑な物理現象」で「再現性にばらつき」があるので規格を作りにくいのでしょうか。
⇒参考サイト (JIS C61000-4-2:2012)
⇒参考サイト (JIS X6305-2-2010-1)

計測データは見つかりませんが、当サイトでは静電気=要注意とさせていただきます。

磁気の影響まとめ

ここまでの結果をまとめました。
⇒参考サイト (セイコーウオッチ)から一部引用・単位換算。

磁気を発する製品密着状態の磁力5cm離れた場合
スマートキー458 (nT)=0.0045 (Oe)458 (nT)=0.0045 (Oe)
電子レンジ9.4 (mG)=0.0094 (Oe)
ノートパソコンスピーカー部8,000 (A/m)=100 (Oe)0 (A/m)=0 (Oe)
スマートフォンスピーカー部16,000 (A/m)=201 (Oe)400 (A/m)=5 (Oe)
携帯電話スピーカー部22,400 (A/m)=281 (Oe)1,600 (A/m)=20 (Oe)
フェライト磁石 (実験使用品) ※554 (Gauss)=554 (Oe)4 (Gauss)=4 (Oe)
■旧タイプ磁気券650 (Oe)▲OK ▼NG
家具のドア・マグネット部64,000 (A/m)=804 (Oe)1,200 (A/m)=15 (Oe)
バッグ留め金72,000 (A/m)=904 (Oe)0 (A/m)=0 (Oe)
健康磁気製品(ネックレスなど)96,000 (A/m)=1,203 (Oe)0 (A/m)=0 (Oe)
■現行タイプ磁気券2,750 (Oe)▲OK ▼NG
ネオジム磁石 (実験使用品) ※3,002 (Gauss)=3,002 (Oe)68 (Gauss)=68 (Oe)
スマホホルダー?~10,000 (Oe)
MRI0.5~3 (T)=5,000~30,000 (Oe)
(※) 引用元に「製品等の磁界の強さは目安です」とあるように、あくまで参考値としてください。
(※) 実験使用品の磁力は参考サイト(磁束密度・吸引力計算ツール)で推定しました。

タイプによる性能の違いが一目瞭然ですね。弊社が低保磁力タイプ(650エルステッド)を使っていた頃はエラーがとても多かったです。2010年に高保磁力タイプ(2,750エルステッド)に切り替えてからトラブルが激減しました。

ちなみに、時計の耐磁性能は以下の通りです。磁気券よりはるかに繊細です。

一般的な非耐磁時計1,600 (A/m) =20 (Oe)
JIS 1種 耐磁時計4,800 (A/m) =60 (Oe)
JIS 2種 耐磁時計16,000 (A/m) =200 (Oe)
プロ仕様 耐磁時計80,000 (A/m)=1,003 (Oe)

⇒参考サイト (【スマートフォンが時計を狂わせる!】意外と知らない時計の基礎知識-第1回は耐磁性を解説。)

天敵2: 水濡れ

水濡れイメージ

紙ベースなので、水濡れや高熱による変形は読取不良を起こす可能性があります。

CASE 2-1 (短時間の水濡れ) 【判定=OK】

カードを水に濡らしてすぐ拭いたところ、エラーは出ませんでした。ある程度は撥水性があり、すぐ拭けば問題ないようです。

JIS試験項目「短期間の浸せき」(=浸漬。各種溶液に1分間浸す)をクリアするため、磁気ストライプに添加物や保護膜を加えています。
⇒参考サイト(JIS X 6305-1:2010)

CASE 2-2 (油汚れ) 【判定=NG】

油で汚れた券は投入しないでください。

CASE 2-3 (熱湯) 【判定=OK】

熱い飲み物をこぼしたらどうなるでしょうか。

沸騰したお湯をかけて数秒後に拭き取りエラーなし
沸騰したお湯をかけて放置 (5分で自然乾燥)エラーなし

CASE 2-4 (熱風) 【判定=OK】

磁気ストライプの製造工程ではドライヤーで乾燥させますが、その後に書き込む磁気データの耐熱性はどうでしょうか。

ドライヤーの熱風(推定140℃)を1分間当てるエラーなし

JISでは50℃±3℃の環境に60分置きますが、主にカードの物理的変形を見るようです。
⇒参考サイト(JIS X 6305-1:2010)

磁性体が磁力を失う温度を「キュリー温度」と呼びます。磁性粉原料フェライトのキュリー温度は573℃なので、想像以上に熱に強いのかもしれません。
⇒参考サイト(Wikipedia: キュリー温度)

CASE 2-5 (紫外線) 【判定=OK】

熱湯→高温→日光の連想で、紫外線耐性も調べました。

ブラックライトで紫外線(波長375 nm)を10分間照射エラーなし

紫外線は以下の3種類があります。波長(nm:ナノメートル)が小さいほど強力です。 ⇒参考サイト(気象庁:紫外線とは)

  • UV-A (315-400 nm) 太陽から地表に届く。生物への影響が小さい。
  • UV-B (280-315 nm) 太陽から地表に届く。生物への影響が大きい。
  • UV-C (100-280 nm) 成層圏オゾンに吸収され、地表に到達しない。

JISでは、UV-C相当の254 nm 紫外線に10~30分さらして影響がないか検査します。日常で浴びる紫外線は問題ないようです。
⇒参考サイト(JIS X 6305-1:2010)

CASE 2-6 (アルコール) 【判定=OK】

コロナ禍のご時世、うっかり消毒用アルコールがかかったらどうでしょうか。

消毒用エタノール(75 vol%)を吹きつけて自然乾燥エラーなし

天敵3: 折り曲げ

折り曲げイメージ

財布やポケットに入れて折り曲げると、カードと読み取り部が密着しなくなり、読めなくなることがあります。

CASE 3-1 (紙製) 【判定=OK】

駐車券 (紙製)を一回折り曲げた程度ではエラーは出ませんでした

CASE 3-2 (プラスチック製) 【判定=NG】

お客様がプリペイドカード(プラスチック製)を間違って折ってしまったところ、読めなくなりました

材質による起こりやすさもありますが、折り曲げは危険ですね。

CASE 3-3 (重ねて投入) 【判定=NG】

複数枚を重ねて入れると認識しません。一枚ずつ投入してください。

天敵4: 異物の貼付等

異物イメージ

磁気カードが読み取りにくくなったらセロテープを貼れば良いと言う人がいますが絶対におやめください。機械が壊れたことがあります。

CASE 4-1 (セロテープ) 【判定=NG】

お客様が出場しようとしたところ、精算機が作動停止して後続車が長蛇の列を作りました。

調べるとセロテープを貼ったサービス券が投入されており、機械が詰まって壊れていました。

厳重注意させていただきました。

CASE 4-2 (剥離試験) 【判定=NG】

お客様のパスカードデータが破損しました。カードに付箋を貼って剥がしたそうですが、これが原因なのか。だとすれば、どの程度のダメージでエラーが出るのか調べました。

■セロテープを磁気ストライプに数回貼る+剥がすエラーなし
■磁気ストライプの右端や左端を剥がすエラーなし
■磁気ストライプの中心部1/3を剥がすエラー発生

原因は特定できませんでしたが、データ記録位置とエラーの興味深い関係が見られました。

CASE 4-3 (磁気ヘッド摩耗) 【判定=NG】

読取エラーで発券機を調べると、磁気ヘッドが摩耗していたので直ちに交換しました。

カード以外の原因もあるんですね。

CASE 4-4 (カード摩耗) 【判定=OK】

パスカードの頻回使用による摩耗を疑ったことがあります。

JISは磁気ストライプを磁気ヘッドで2,000往復させる耐磨耗試験を要求しています。パスカードは年1回交換するので、365日×5~6回入出場しても問題ない計算です。⇒参考サイト(JIS X 6302-6:2011)

エラーが出たパスカードは交換3ヶ月目。見た目に損傷が見られず、これが原因とは考えにくいです。

CASE 4-5 (最低地上高が高い車)【判定=NG】

最低地上高(車体と路面の距離)が特に高いお車は、まれに出場時にエラーが起きることがあります。

【エラーの原因】

  • 入場ゲートを通るとき、路面埋設センサーが検知して入庫処理する。
  • 一部の車種はセンサーが検知せず、入庫処理しない。
  • 未入庫扱いとなり、出場時にエラーが出る。

※ランドクルーザーやジムニー等でまれに起きるようです(最低地上高20cm以上?)。

【対策】

  • 2022/6/21、センサー感度を調整しました。
  • 念のため、該当車種は事前精算機のご利用をお勧めします(エラー時に対処する余裕があるため)。
  • トラブル時は係員にお申し付けください。

トラブル時のお車移動は、くれぐれもご注意ください。

CASE 4-6 (季節性要因) 【判定=不明】

季節による起こりやすさはあるのでしょうか?

2020年から2023年の記録を調べましたが、件数が少なすぎて統計上意味のあるデータは取れませんでした。

2月5月6月12月
1件1件2件1件

当サイトに「磁気券エラー」で検索してこられる数に月ごとの目立った変化はみられません。Googleトレンドの検索ボリュームは4月に多い傾向がありますが、因果関係はわかりません。年度初めの契約が多いためでしょうか。

【結論】 一時的エラーと修復不能エラーの対処方法

磁気券エラーの原因をできるだけ特定しようとしましたが、現行の高保磁力タイプはかなりタフになっています。

当サイトとしては「これが危険です!」と声高に警告したかったのですが、正直意外な結果でした。もちろん、まれにエラーがある以上、取扱いに注意されることをお勧めします。

実際はもう少し複雑で、単に「アレはだめ、コレはよし」というより「どの部分にどれほどダメージを与えたか」なのかもしれません。

エラーが起きたらどうすればよいでしょうか。結論に行きましょう。

  • エラーには、その場で解消できる一時的エラーと、データが破壊された修復不能エラーがあります。
  • 一時的エラーの見分け方は、以下の通りです。まずご自身でご確認ください。

エラー対処方法

方向■カード記載の矢印方向に入れてください。
順序■駐車券→サービス券の順に入れてください。
種類■他の駐車場のカードではありませんか。

■(複数契約パスカードの場合)入庫中カードで入ろうとしていませんか(データ重複による入場不能:アンチパスエラー)。出庫済カードでお入りください。
期限■(パスカードの場合)有効期間が切れていませんか。カード更新してください(毎年3月末)。

■(パスカードの場合)出庫後3分以内の再入庫はできません。
  • 上記で解決しなければ、修復不能エラーの可能性が高く、ご自身での復旧手段はありません。1階管理事務所ドア付近のインターホンで係員をお呼びください。

最近はクレジットカードのATM磁気復元サービスもあります (ICチップ搭載カードのみ)。残高照会すると修復するものもあります。弊社は管理事務所ですぐ対応致します。

⇒参考サイト(クレジットカードのATM磁気復元サービスとはなんですか。)

免責事項

  • 当サイトの実験は、どんな行為が危険かお客様にご注意いただくのが目的です。
  • 厳密なテストではなく、あらゆる状況で同様の結果になることを保証するものではありません。
  • 製品の製造時期や測定機器の精度により、異なる結果が出る可能性があります。
  • 復旧可能な環境で行っておりますので、決して真似なさらないでください。